危険物船舶運送及び貯蔵規則

时间: 2019-05-07


 昭和三十二年運輸省令第三十号

危険物船舶運送及び貯蔵規則

危険物船舶運送及び貯蔵規則を次のように定める。


目次







第一編



総則(第一条―第五条の三の三)














第二編



危険物の運送













第一章



通則(第五条の四―第五条の十)














第二章



危険物の個品運送等













第一節



通則(第六条―第二十三条)














第二節



コンテナによる危険物の運送等(第二十四条―第三十六条)














第三節



危険物を運送する船舶の要件(第三十七条―第四十五条)














第四節



火薬類(第四十六条―第五十三条)














第五節



高圧ガス(第五十四条―第五十八条)














第六節



引火性液体類(第五十九条・第六十条)














第七節



可燃性物質類(第六十一条―第六十四条)














第八節



酸化性物質類(第六十五条―第六十八条)














第九節



毒物類(第六十九条・第七十条)














第十節



放射性物質等(第七十一条―第百七条)














第十一節



腐食性物質(第百八条―第百十条)














第十二節



検査(第百十一条―第百三十七条)















第三章



ばら積み液体危険物の運送













第一節



通則(第百三十八条―第百四十一条)














第二節



液化ガス物質













第一款



通則(第百四十二条―第百四十三条の二)














第二款



配置等(第百四十四条―第百五十八条)














第三款



排水設備(第百五十九条・第百六十条)














第四款



消防設備(第百六十一条―第百六十七条)














第五款



貨物格納設備(第百六十八条―第百七十八条)














第六款



管装置等(第百七十九条―第百八十九条)














第七款



通風装置(第百九十条―第百九十三条の二)














第八款



圧力及び温度制御装置(第百九十四条―第百九十七条)














第九款



貨物タンクの通気装置(第百九十八条・第百九十九条)














第十款



計測装置及びガス検知装置(第二百条―第二百十七条の二)














第十一款



環境制御(第二百十八条―第二百二十五条)














第十二款



貨物を燃料として使用するための設備(第二百二十六条―第二百三十二条)














第十三款



充てん限度(第二百三十三条―第二百三十五条)














第十四款



電気設備(第二百三十六条・第二百三十七条)














第十五款



保護装具等(第二百三十八条―第二百四十条)














第十六款



損傷時の復原性等(第二百四十一条―第二百五十二条)














第十七款



作業要件(第二百五十三条―第二百五十五条の二)














第十八款



特別要件(第二百五十六条)















第三節



液体化学薬品













第一款



通則(第二百五十七条・第二百五十八条)














第二款



配置等(第二百五十九条―第二百六十四条)














第三款



排水設備(第二百六十五条―第二百六十七条)














第四款



消防設備(第二百六十八条―第二百七十四条)














第五款



貨物タンク等(第二百七十五条―第二百八十五条)














第六款



貨物区域における通風装置(第二百八十六条―第二百八十九条)














第七款



温度制御装置(第二百九十条・第二百九十一条)














第八款



貨物タンクの通気装置等(第二百九十二条―第二百九十四条)














第九款



計測装置及びガス検知装置(第二百九十五条―第二百九十七条)














第十款



環境制御(第二百九十八条・第二百九十九条)














第十一款



電気設備(第三百条―第三百二条)














第十二款



保護装具等(第三百三条―第三百七条)














第十三款



損傷時の復原性等(第三百八条―第三百十七条)














第十四款



作業要件(第三百十八条―第三百二十四条)














第十五款



特別要件(第三百二十五条)















第四節



引火性液体物質(第三百二十六条―第三百五十六条)














第五節



有害性液体物質(第三百五十七条―第三百六十五条)
















第三編



危険物の貯蔵













第一章



通則(第三百六十六条―第三百七十二条)














第二章



火薬類の貯蔵(第三百七十三条―第三百八十三条)














第三章



火薬類以外の危険物の貯蔵(第三百八十四条―第三百八十七条)















第四編



常用危険物













第一章



常用危険物の貯蔵(第三百八十八条・第三百八十九条)














第二章



低引火点燃料船の作業要件(第三百八十九条の二―第三百八十九条の十二)














第三章



摂氏四三度以下の油(第三百九十条)















第五編



雑則(第三百九十条の二・第三百九十条の三)














第六編



罰則(第三百九十一条―第三百九十九条)








附則




第一編 総則

(通則)


第一条 船舶による危険物の運送及び貯蔵並びに常用危険物の取扱い並びにこれらに関し施設しなければならない事項及びその標準については、他の命令の規定によるほか、この規則の定めるところによる。



(総トン数)


第一条の二 この省令を適用する場合における総トン数は、船舶安全法施行規則(昭和三十八年運輸省令第四十一号)第六十六条の二の総トン数とする。



(用語)


第二条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。


一 危険物 次に掲げるものをいう。


イ 火薬類 火薬、爆薬、弾薬、火工品その他の爆発性を有する物質で、告示で定めるものをいう。



ロ 高圧ガス 摂氏五十度で圧力〇・三〇メガパスカルを超える蒸気圧を持つ物質又は摂氏二十度で圧力〇・一〇一三メガパスカルにおいて完全に気体となる物質で、告示で定めるものをいう。



ハ 引火性液体類 次に掲げるものをいう。


(1) 引火点(密閉容器試験による引火点をいう。以下同じ。)が摂氏六十度以下の液体(引火点が摂氏三十五度を超える液体であつて燃焼継続性がないと認められるものを除く。)で、告示で定めるもの



(2) 引火点が摂氏六十度を超える液体であつて当該液体の引火点以上の温度で運送されるもの(燃焼継続性がないと認められるものを除く。)で、告示で定めるもの



(3) 加熱され液体の状態で運送される物質であつて当該物質が引火性蒸気を発生する温度以上の温度で運送されるもの(燃焼継続性がないと認められるものを除く。)で、告示で定めるもの




ニ 可燃性物質類 次に掲げるものをいう。


(1) 可燃性物質 火気等により容易に点火され、かつ、燃焼しやすい物質で、告示で定めるものをいう。



(2) 自然発火性物質 自然発熱又は自然発火しやすい物質で、告示で定めるものをいう。



(3) 水反応可燃性物質 水と作用して引火性ガスを発生する物質で、告示で定めるものをいう。




ホ 酸化性物質類 次に掲げるものをいう。


(1) 酸化性物質 他の物質を酸化させる性質を有する物質(有機過酸化物を除く。)で、告示で定めるものをいう。



(2) 有機過酸化物 容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質で、告示で定めるものをいう。




ヘ 毒物類 次に掲げるものをいう。


(1) 毒物 人体に対して毒作用を及ぼす物質で、告示で定めるものをいう。



(2) 病毒をうつしやすい物質 生きた病原体及び生きた病原体を含有し、又は生きた病原体が付着していると認められる物質で、告示で定めるものをいう。




ト 放射性物質等 次に掲げるものをいう。


(1) 放射性物質 電離作用を有する放射線を自然に放射する物質で、告示で定めるものをいう。



(2) 放射性物質によつて汚染された物 放射性物質が付着していると認められる固体の物質(放射性物質を除く。)で、その表面の放射性物質の放射能面密度が告示で定める密度を超えるものをいう。




チ 腐食性物質 腐食性を有する物質で、告示で定めるものをいう。



リ 有害性物質 イからチまでに掲げる物質以外の物質であつて人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのあるもので、告示で定めるものをいう。




一の二 ばら積み液体危険物 ばら積みして運送される液体の物質であつて、次に掲げるものをいう。


イ 液化ガス物質 摂氏三十七・八度で〇・二八メガパスカル(絶対圧力)を超えるガス圧力を持つ液体及びこれに類似する性状を有する液体であつて、告示で定めるものをいう。



ロ 液体化学薬品 摂氏三十七・八度で〇・二八メガパスカル(絶対圧力)以下のガス圧力を持つ次に掲げる性質を有する液状の物質(油(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)第三条第二号の油をいう。以下同じ。)を除く。)であつて告示で定めるものをいう。


(1) 腐食性



(2) 人体に対する毒性



(3) 引火性



(4) 自然発火性



(5) 危険な反応性




ハ 引火性液体物質 引火点が摂氏六十度以下の液体(イ及びロに掲げるものを除く。)であつて、告示で定めるものをいう。



ニ 有害性液体物質 イからハまでに掲げる物質以外の液状の物質であつて前号の危険物をいう。




二 常用危険物 船舶の航行又は人命の安全を保持するため、当該船舶において使用する危険物をいう。



二の二 小型容器 収納する危険物の質量が四百キログラム以下の容器(液体の危険物を収納する告示で定める容器にあつては、内容積が四百五十リットル以下のものに限る。)のうち、告示で定めるものをいう。



二の三 大型容器 内容積が四百五十リットルを超える容器又は収納する危険物の質量が四百キログラムを超える容器であつて、内容積が三、〇〇〇リットル以下のもののうち、告示で定めるものをいう。



二の四 IBC容器 内容積が三、〇〇〇リットル以下の金属製容器、硬質プラスチック製容器、プラスチック製内容器付複合容器、フレキシブル容器、ファイバ板製容器及び木製容器であつて、小型容器及び大型容器以外のもののうち、告示で定めるものをいう。



二の五 ポータブルタンク 小型容器、大型容器及びIBC容器以外の容器(高圧ガスを充てんするものにあつては、内容積が四百五十リットル以上のものに限る。)のうち、告示で定めるものをいう。



二の六 高圧容器 高圧ガスを充てんし、又は液体の危険物を収納する容器であつて、小型容器、大型容器、IBC容器及びポータブルタンク以外のもののうち、告示で定めるものをいう。



二の七 フレキシブルバルクコンテナ 内容積が一五、〇〇〇リットルを超えないフレキシブル容器であつて、小型容器、大型容器、IBC容器、ポータブルタンク及び高圧容器以外のもののうち、告示で定めるものをいう。



三 甲板上積載 危険物を暴露甲板又は開放された船楼、甲板室若しくはこれらに類する場所に積載することをいう。



四 甲板上カバー積載 危険物を覆布等で覆つて暴露甲板に積載することをいう。



五 甲板上室内積載 危険物を開放された船楼若しくは甲板室又はこれらに類する場所に積載することをいう。



六 甲板下積載 危険物を暴露甲板下の場所であつて、開放された船楼、甲板室及びこれらに類する場所以外の場所に積載することをいう。



七 甲板間積載 危険物を上甲板(全通船楼船にあつては全通船楼甲板。以下同じ。)とこれの直下の甲板との間の場所に積載することをいう。



八 倉内積載 危険物を換気することができる上甲板下の場所に積載すること(甲板間積載を除く。)をいう。



九 はしけ 危険物(ばら積み液体危険物を含む。次号及び第十一号、第五条第二項、第五条の四並びに第五条の九において同じ。)を運送する船舶であつて推進機関又は帆装を有しないものをいう。



十 タンカー 危険物である液体貨物を船体の一部を構成するタンクにばら積みして運送又は貯蔵する船舶(はしけを除く。)をいう。



十一 タンク船 危険物である液体貨物を船体の一部を構成しないタンク(暴露甲板上に据え付けられたものを除く。)にばら積みして運送又は貯蔵する船舶(はしけを除く。)をいう。




(分類等)


第三条 この規則において、危険物の分類は、次に掲げるものとする。


一 火薬類



二 高圧ガス



三 引火性液体類



四 可燃性物質類



五 酸化性物質類



六 毒物類



七 放射性物質等



八 腐食性物質



九 有害性物質




2 この規則において、高圧ガス、可燃性物質類、酸化性物質類及び毒物類の項目は、それぞれ、告示で定めるものとする。



3 この規則において、危険物及びばら積み液体危険物の品名は告示で定めるものとする。



4 この規則において、危険物の国連番号、等級、隔離区分、副次危険性等級及び容器等級は、それぞれ、品名ごとに告示で定めるものとする。



(持込の制限)


第四条 運送又は貯蔵をするために持ち込む場合、告示で定める危険物(当該危険物について、それぞれ、告示で定める数量以下であるものに限る。)を船長の許可を受けて持ち込む場合その他法令で定める場合を除き、常用危険物以外の危険物を船舶に持ち込んではならない。



2 船長は、前項の許可をするにあたり、当該危険物の容器、包装及び積載場所について必要な指示をすることができる。



(工事等)


第五条 火薬類を積載し、又は貯蔵している船舶においては、工事(溶接、リベツト打その他火花又は発熱を伴う工事をいう。本条中同じ。)をしてはならない。



2 火薬類以外の危険物又は引火性若しくは爆発性の蒸気を発する物質を積載し、又は貯蔵している船倉若しくは区画又はこれらに隣接する場所においては、工事をしてはならない。



3 火薬類、可燃性物質類又は酸化性物質類を積載し、若しくは貯蔵していた船倉又は区画において工事をする場合は、工事施行者は、あらかじめ、当該危険物の残渣さ
による爆発又は火災のおそれがないことについて船舶所有者又は船長の確認を受けなければならない。



4 引火性液体類又は引火性若しくは爆発性の蒸気を発する物質を積載し、若しくは貯蔵していた船倉若しくは区画又はこれらに隣接する場所においては、次の各号の一に該当する場合を除き、工事、清掃その他の作業を行つてはならない。


一 当該船倉又は区画の引火性若しくは爆発性の蒸気が新鮮な空気で置換されている場合であつて、工事その他の作業施行者が、あらかじめ、ガス検定を行い、爆発又は火災のおそれがないことについて船舶所有者又は船長の確認を受けた場合



二 当該船倉又は区画内のガスの状態が不活性となつている場合であつて、地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)が工事方法等を考慮して差し支えないと認めた場合




5 第一項及び第二項の規定は、常用危険物については、適用しない。この場合においては、工事前に爆発又は火災のおそれのないことを確認しなければならない。



6 高圧ガス、引火性液体類、毒物又は腐食性物質で人体に有害なガスを発生するものを積載し、又は貯蔵していたタンカー、タンク船又ははしけのタンク内において工事、清掃その他の作業を行なう場合(船員法(昭和二十二年法律第百号)による船員が当該作業を行なう場合を除く。)は、工事その他の作業施行者は、あらかじめ、ガス検定を行ない、当該タンク内に危険な量のガスがないことを確認しなければならない。



(空容器)


第五条の二 危険物の運送又は貯蔵に使用された空の容器(次の各号に掲げるものを除く。)は、当該危険物を収納しているものとしてこの規則(第百十一条及び第百十二条の規定を除く。)を適用する。


一 危険物(放射性物質等を除く。)の運送又は貯蔵に使用された空の容器を洗浄したものであつて、残留内容物による危険性がないことについて荷送人が確認したもの



二 放射性物質等の運送又は貯蔵に使用された空の容器を洗浄したものであつて、当該容器の内表面の放射性物質の放射能面密度が告示で定める密度を超えないもの




(権限の委任)


第五条の三 この規則により地方運輸局長に属する権限(第八十七条第一項に規定する権限を除く。)は、運輸支局等(運輸支局(地方運輸局組織規則(平成十四年国土交通省令第七十三号)別表第二第一号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)及び同令別表第五第二号に掲げる海事事務所をいう。以下同じ。)の管轄区域においては当該運輸支局等の長、沖縄県においては内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十七条第一項の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち国土交通省組織令(平成十二年政令第二百五十五号)第二百十二条第二項に規定する事務を分掌するものの長に行わせるものとする。



(経由機関)


第五条の三の二 第八十七条第一項の規定による確認(国土交通大臣が行うものに限る。)の申請は、船積地を管轄する地方運輸局長(船積地が本邦外の場合にあつては、関東運輸局長。以下同じ。)を経由して行うものとする。



2 第九十九条第一項の規定による国土交通大臣に対する運送計画書の提出は、最初の船積地を管轄する地方運輸局長(最初の船積地が本邦外の場合にあつては、関東運輸局長)を経由して行うものとする。



3 第三百九十条の二の規定による許可(国土交通大臣が行うものに限る。)の申請は、最寄りの地方運輸局長(申請者が本邦外にある場合にあつては、関東運輸局長。以下同じ。)を経由して行うものとする。



(適用の特例)


第五条の三の三 極海域航行船(船舶設備規程(昭和九年逓信省令第六号)第二条第六項に規定する極海域航行船をいう。以下この条、第二百四十六条第五項及び第三百十三条第五項において同じ。)であつて公用に供するものについては、船舶の所在地を管轄する地方運輸局長が差し支えないと認める場合に限り、この省令の規定のうち極海域航行船に関する規定は、適用しない。




第二編 危険物の運送

第一章 通則

(荷役)


第五条の四 危険物の船積み、陸揚げその他の荷役をする場合は、船長又はその職務を代行する者は、これに立ち会わなければならない。





第五条の五 液化ガス物質及び液体化学薬品をばら積みして運送する場合並びに危険物をコンテナ(船舶安全法施行規則第十九条の三に規定するコンテナであつて底面積七平方メートル(上部にすみ金具を有しないもの又は国際航海(船舶安全法施行規則第一条第一項の国際航海をいう。以下同じ。)に従事しない船舶による運送に使用されるものにあつては十四平方メートル)以上のものに限る。以下同じ。)に収納し、又は自動車等(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第九号から第十一号までに規定する自動車、原動機付自転車又は軽車両をいう。以下同じ。)に積載して運送する場合であつて、当該貨物の安全な運送に必要な情報が得られないときは、船長は、当該貨物の積載を拒否しなければならない。





第五条の六 削除





第五条の六の二 削除



(危険物を積載している船舶の標識)


第五条の七 湖川港内において航行し、又は停泊する船舶であつて、貨物として火薬類、高圧ガス、引火性液体類、有機過酸化物、毒物又は放射性物質等を積載しているものは、昼間は赤旗を夜間は赤灯を、マストその他の見やすい場所に掲げなければならない。ただし、海上交通安全法(昭和四十七年法律第百十五号)第二十二条第三号に掲げる危険物積載船が海上交通安全法施行規則(昭和四十八年運輸省令第九号)第二十二条の表危険物積載船の項に掲げる標識又は灯火を掲げている場合は、この限りでない。



(危険物取扱規程の供与等)


第五条の八 第百十一条第一項各号に掲げる危険物を運送する船舶及びばら積み液体危険物(有害性液体物質を除く。)を運送する船舶(引火性液体物質にあつては、タンカー、タンク船及びタンクを据え付けたはしけ)の船舶所有者は、当該危険物の運送により発生する危険を防止するため、当該危険物に関する性状、作業の方法、災害発生時の措置その他の注意事項(以下「危険を防止するための注意事項」という。)を詳細に記載した危険物取扱規程を作成し、当該船舶の船長に供与しなければならない。ただし、別表第四に定める災害対策緊急措置手引書を備え付けた場合において、当該災害対策緊急措置手引書に危険を防止するための注意事項を記載したときは、危険物取扱規程に当該事項を記載することを要しない。



2 船長は、前項の危険物取扱規程に記載された事項を当該船舶の乗組員及び当該作業を行う作業員に周知させ、かつ、遵守させなければならない。





第五条の八の二 前条第一項の危険物以外の危険物を運送する場合は、荷送人は船舶所有者又は船長(危険物をコンテナに収納し、又は自動車等に積載して運送する場合であつて、船舶所有者が収納又は積載するときは、船舶所有者に限る。)に当該危険物に関する災害発生時の措置についての情報を記載した書面を提出しなければならない。ただし、船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。



2 船長は、前項の書面(写し等を含む。次項において同じ。)を船舶内に当該運送が終了するまで保管しなければならない。



3 危険物を他の船舶に積み換えるときは、前の船舶の船舶所有者又は船長は、第一項の書面を後の船舶の船舶所有者又は船長に交付しなければならない。



(運送中の措置)


第五条の九 船長は、船舶に積載してある危険物により災害が発生しないように十分な注意を払わなければならない。



2 船長は、人命、船舶又は他の貨物に対する危害を避けるため必要があると認めるときは、船舶に積載してある危険物を廃棄することができる。



(通報等)


第五条の十 船長は、ばら積み以外の方法で運送される危険物の排出があつた場合又は排出のおそれがある場合には、当該排出の日時、場所、状況、船舶の名称及び船舶所有者並びに当該危険物の品名、数量、容器及び包装について直ちに最寄りの海上保安機関に通報しなければならない。



2 前項に規定する船舶の船長は、同項に規定する場合において、港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)第二十五条の規定による報告、海上交通安全法第三十九条第一項の規定による通報又は海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三十八条第一項、第二項若しくは第五項、第四十二条の二第一項若しくは第四十二条の三第一項の規定による通報をしたときは、当該報告又は通報をした事項については前項の規定による通報をすることを要しない。



3 第一項の船舶の船舶所有者その他当該船舶の運航に関し権原を有する者は、海上保安機関から、同項の危険物の排出等による危険を防止するために必要な情報の提供を求められたときは、できる限り、これに応じなければならない。




第二章 危険物の個品運送等

第一節 通則

(適用)


第六条 この章の規定は、船舶により危険物を運送する場合(ばら積み液体危険物を運送する場合を除く。)について適用する。



(運送禁止)


第七条 爆発性、毒性、腐食性等を有する危険物であつて、特に危険性が高いものとして告示で定める危険物は、船舶により運送してはならない。



2 次に掲げる危険物は旅客船により運送してはならない。


一 火薬類であつて告示で定めるもの



二 第七十一条第一項第一号に規定する放射性輸送物であつて別表第四に定める甲種貨物が収納されたもの



三 液体アンモニアその他告示で定める危険物




3 前項の規定にかかわらず、搭載している旅客の数が告示で定める数を超えない場合は、同項第三号に掲げる危険物を旅客船により運送することができる。



(容器、包装等)


第八条 危険物(常用危険物を除く。以下同じ。)を運送する場合は、荷送人(他人に運送を委託しないで運送する場合にあつては、その者。以下同じ。)は、その容器、包装、標札又は標識(以下「標札等」という。)及び品名、国連番号、取扱い上の注意事項その他の当該危険物に係る情報の表示(以下「品名等の表示」という。)(危険物をコンテナに収納し、又は自動車等に積載して運送する場合にあつては、コンテナに収納し、又は自動車等に積載する危険物の容器、包装、標札等並びに品名等の表示をいう。以下同じ。)について告示で定める基準によらなければならない。



2 危険物を収納する容器及び包装は、漏えい又は損傷のおそれがなく、かつ、収納される危険物に対し、安全なものでなければならない。



3 第一項の荷送人は、告示で定める危険物を運送する場合にあつては、次に掲げる容器のいずれかによらなければならない。


一 第百十三条の規定により検査を受け効力を有する表示が付されている小型容器、大型容器、IBC容器、ポータブルタンク、高圧容器又はフレキシブルバルクコンテナ



二 外国の政府により当該国の危険物の容器及び包装に関する法令に適合していることが認められていることを示すものとして告示で定める表示であつて、効力を有するものが付されている小型容器、大型容器、IBC容器、ポータブルタンク、高圧容器又はフレキシブルバルクコンテナ



三 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第四十四条第一項の容器検査に合格している高圧容器



四 本邦外において製造された高圧容器であつて、外国政府(政府機関その他これに準ずるものを含む。)の行う検査に合格しているもの




4 第一項の荷送人は、運送する危険物を、次に掲げるものと同一の容器に収納してはならない。ただし、当該危険物の性状、質量、収納方法等を考慮して船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。


一 第二十一条第一項の規定により当該危険物と隔離しなければならない危険物



二 当該危険物との作用により、発熱し、ガスを発生し、腐食作用を起こし、その他危険な物理的又は化学的作用を起こすおそれがあるもの






第九条 前条第一項の標札等及び品名等の表示(告示で定めるものに限る。)は、海水に三月浸された場合であつても、消えるおそれのないものでなければならない。





第十条 第百十三条第四項の規定は、第八条第三項第二号の表示について準用する。





第十一条 第八条第一項の規定にかかわらず、船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、標札等及び品名等の表示を省略することができる。





第十二条 第八条第三項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合は、それぞれ、第百十三条第四項第一号、第二号又は第四号のいずれにも該当していないIBC容器又はポータブルタンクによることができる。


一 第八条第三項の告示で定める危険物を第百十三条第四項の表示の効力を失つた容器及び包装により、その効力を失つた日の翌日から起算して告示で定める期間以内に運送する場合(表示の効力を失う前に危険物を当該容器及び包装に収納した場合に限る。)



二 第五条の二の空の容器を第百十三条第一項の検査又は第八条第三項第二号の外国の政府による当該国の危険物の容器及び包装に関する法令に適合していることの認定を受けるため運送する場合






第十三条 第八条及び第二十条の規定にかかわらず、告示で定める危険物は、それぞれ、告示で定める積載方法による場合に限り、旅客船以外の船舶にばら積みして運送することができる。この場合には、次に掲げるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が安全上差し支えないと認める場合はこの限りでない。


一 積載する場所は、積載前に清掃すること。



二 同一の船倉又は区画には、同一品名のもののみを積載すること。




2 特殊貨物船舶運送規則(昭和三十九年運輸省令第六十二号)第一条の二、第一条の二の二、第一条の三、第一条の四第一項、第十五条の二から第十五条の三まで、第十五条の四から第十五条の十まで、第三十二条、第三十三条第三項及び第九項(同条第三項に係る部分に限る。)並びに第三十三条の二の規定は、前項の規定により危険物をばら積みして運送する場合に、これを準用する。この場合において、同令第十五条の五の二中「第十五条の三の二各号の積載方法」とあるのは、「告示で定める積載方法」と読み替える。



3 特殊貨物船舶運送規則第十六条から第二十七条の二まで、第三十三条第五項から第九項(同条第五項から第八項までに係る部分に限る。)までの規定は、第一項の規定による危険物であつて、同令第一条の二の二第四号の液状化物質に該当するものをばら積みして運送する場合に、これを準用する。



4 特殊貨物船舶運送規則第二十八条の規定は、第一項の規定による危険物であつて、同令第一条の二の二第四号の固体化学物質に該当するものをばら積みして運送する場合に、これを準用する。





第十四条 第八条の規定にかかわらず、告示で定める危険物(同一の品名のものに限る。)は、告示で定める区分ごとに、それぞれ、非開放型の構造を有する金属製コンテナ又は上部開放型の構造を有するシート付き金属製コンテナにばら積みして運送することができる。



(オーバーパック)


第十五条 オーバーパック(荷送人によつて危険物が容器に収納され、又は包装されているものが、箱又は袋等(コンテナを除く。)に収納され、又は包装されているものをいう。以下同じ。)は、オーバーパックに収納され、又は包装されている個々の容器又は包装が破損するおそれがないようにしなければならない。



2 荷送人は、標札等を付さなければならない危険物のオーバーパックには、オーバーパックに収納され、又は包装されている個々の容器又は包装に付された標札等が外部から容易に確認できる場合を除き、当該危険物を表示する標札等を付さなければならない。



3 荷送人は、品名及び国連番号を表示しなければならない危険物のオーバーパックには、オーバーパックに収納され、又は包装されている個々の容器又は包装に表示された品名及び国連番号が外部から容易に確認できる場合を除き、当該危険物の品名及び国連番号を表示しなければならない。



4 荷送人は、オーバーパックに、オーバーパックに収納され、又は包装されている個々の容器又は包装に付された標札等並びに表示された品名及び国連番号が外部から容易に確認できる場合を除き、告示で定めるオーバーパック表示を表示しなければならない。





第十六条 荷送人は、運送する危険物を、次に掲げるものと同一のオーバーパックに収納し、又は包装してはならない。ただし、当該危険物の性状、質量、収納方法等を考慮して船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。


一 第二十一条第一項の規定により当該危険物と隔離しなければならない危険物



二 当該危険物との作用により、発熱し、ガスを発生し、腐食作用を起こし、その他危険な物理的又は化学的作用を起こすおそれがあるもの




(コンテナへの収納禁止)


第十六条の二 荷送人及び船舶所有者は、運送する危険物を、フレキシブルバルクコンテナに収納した状態でコンテナに収納してはならない。



(危険物明細書)


第十七条 危険物の荷送人は、第三十条第一項又は第三十五条第一項の規定によりコンテナ危険物明細書又は自動車等危険物明細書を提出する場合を除き、あらかじめ、次の各号に掲げる事項を記載した危険物明細書を船舶所有者又は船長(危険物をコンテナに収納して運送する場合であつて、船舶所有者が収納する場合は、船舶所有者に限る。次条において同じ。)に提出しなければならない。


一 荷送人の氏名又は名称及び住所



二 荷受人の氏名又は名称及び住所



三 危険物明細書を作成し、又は船舶所有者若しくは船長に提出した年月日



四 危険物の国連番号、品名、等級、隔離区分、副次危険性等級及び容器等級



五 個数及び質量又は容積



六 その他告示で定める事項




2 前項の危険物明細書の記載については、次に掲げるところによるものとする。


一 船舶所有者又は船長が理解する言語により記載すること。



二 前項第四号に掲げる事項は、同号に規定する順序に従つて記載すること。



三 前項第四号に掲げる事項のうち、危険物の国連番号及び等級は、それぞれ「UN」及び「Class」(火薬類にあつては「Division」)の文字に続けて記載すること。




3 第一項の危険物明細書には、次に掲げる危険物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める要件に適合する旨を付記し、又はその旨を証する書類を添付しなければならない。


一 放射性物質等以外の危険物


イ 当該危険物の容器、包装、標札等及び品名等の表示が、第八条、第十一条から第十四条まで若しくは第三十六条第一項の規定に適合するものであり、又は第三百九十条の二の規定に基づく許可を受けたものであること。



ロ 当該危険物が運送に適した状態にあること。




二 放射性物質等


イ 容器に収納され、又は包装されて運送される場合にあつては、第七十三条から第八十五条まで及び第八十七条第一項の規定に適合し、又は第百七条の規定に基づく承認を受けたものであること。



ロ 容器に収納されず、又は包装されないで運送される場合にあつては、第百条第一項の規定に適合し、又は第百七条の規定に基づく承認を受けたものであること。



ハ 当該放射性物質等に係る標札及び表示が第九十二条又は第百条第五項若しくは第七項の規定に適合したものであること。



ニ 当該放射性物質等が運送に適した状態にあること。





4 危険物の荷送人は、第一項の規定により危険物明細書を提出したときは、当該危険物明細書の写しを三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を運送する場合には、この限りでない。



5 危険物を他の船舶に積み換えるときは、前の船舶の船舶所有者又は船長は、当該危険物明細書を後の船舶の船舶所有者又は船長に交付しなければならない。



6 船舶所有者又は船長は、第一項の規定により危険物明細書の提出を受けたとき又は前項の規定により危険物明細書の交付を受けたときは、当該危険物明細書又はその写しを三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を運送する場合には、この限りでない。





第十八条 荷送人は、前条第一項の規定による危険物明細書の提出に代えて、第四項で定めるところにより、船舶所有者又は船長の承諾を得て、前条第一項各号に掲げる事項(以下「記載事項」という。)を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて次に掲げるものにより通知することができる。この場合において、当該荷送人は、当該危険物明細書を提出したものとみなす。


一 電子情報処理組織(荷送人の使用に係る電子計算機と船舶所有者又は船長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。第三項第一号において同じ。)を利用する方法のうちイ又はロに掲げるもの


イ 荷送人の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて船舶所有者又は船長の使用に係る電子計算機に記載事項を送信し、当該電子計算機に備えられたファイルに記録する方法



ロ 荷送人の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された記載事項を電気通信回線を通じて船舶所有者又は船長の閲覧に供し、当該船舶所有者又は当該船長の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該記載事項を記録する方法




二 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに記録する方法に準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもつて調製するファイルに記載事項を記録したものを交付する方法




2 前項に掲げる方法は、船舶所有者又は船長がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならない。



3 荷送人は、第一項の規定により記載事項を通知しようとするときは、あらかじめ、船舶所有者又は船長に対し、その用いる第一項に掲げる方法及びファイルへの記録の方式を示し、書面又は次に掲げる方法による承諾を得なければならない。


一 電子情報処理組織を利用する方法のうち、イ又はロに掲げるもの


イ 船舶所有者又は船長の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて荷送人の使用に係る電子計算機に承諾等をする旨を送信し、当該電子計算機に備えられたファイルに記録する方法



ロ 荷送人の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された第一項に掲げる方法及びファイルへの記録の方式を電気通信回線を通じて船舶所有者又は船長の閲覧に供し、当該電子計算機に備えられたファイルに承諾等をする旨を記録する方法




二 第一項第二号に掲げる方法




4 前項の規定による承諾を得た荷送人は、当該船舶所有者又は当該船長から書面又は前項に掲げる方法により第一項に掲げる方法による通知を受けない旨の申出があつたときは、当該船舶所有者又は当該船長に対し、記載事項の通知を第一項に掲げる方法によつてしてはならない。ただし、当該船舶所有者又は当該船長が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。



5 荷送人は、第一項の規定により記載事項を通知したときは、当該記載事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を運送する場合には、この限りでない。



6 第一項から第四項までの規定は、前条第五項の規定により危険物明細書を交付する場合について準用する。



7 船舶所有者又は船長は、第一項の規定により記載事項の通知を受けたとき又は前項において準用する前条第五項の規定により記載事項の通知を受けたときは、当該記載事項を記録した電磁的記録を三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を運送する場合には、この限りでない。





第十九条 危険物の船積みをする場合は、船長は、その容器、包装、標札等及び品名等の表示がこの省令の規定に適合し、かつ、危険物明細書の記載事項と合致していることを確認しなければならない。



2 前項の確認をする場合において、その容器、包装、標札等及び品名等の表示に関して、この省令の規定に違反しているおそれがあると認めるときは、証人の立会の下に荷ほどきして検査することができる。



(積載方法等)


第二十条 危険物を運送する場合は、船長は、その積載場所その他の積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



2 防水性を有しない容器又は包装により危険物を甲板上積載する場合は、波浪等による危害を防ぐため、危険物を覆布等でおおわなければならない。



3 甲板間積載をする場合は、その積載場所の隔壁の開口には完全に閉鎖することができる装置を取り付けなければならず、かつ、危険物を積載したときは、直ちに、これを閉鎖し、みだりに開いてはならない。



(危険物等の隔離)


第二十一条 同一の船舶に品名の異なる危険物を積載する場合は、告示で定める基準により隔離しなければならない。



2 同一の船舶に危険物及びばら積みして運送する固体化学物質(特殊貨物船舶運送規則第一条の二の二第四号の固体化学物質をいう。)を積載する場合は、告示で定める基準により隔離しなければならない。



(危険物積荷一覧書)


第二十二条 船長は、船舶に積載した危険物について、次の各号に掲げる事項を記載した危険物積荷一覧書二通を作成し、うち一通を船舶所有者に交付し、他の一通を船舶内に当該危険物の運送が終了するまで保管しなければならない。


一 船舶の名称、国籍及び船舶番号



二 旅客船であるかどうかの別



三 船長の氏名



四 船積み、積換え及び陸揚げの港名及び年月日



五 荷送人の氏名又は名称及び住所



六 荷受人の氏名又は名称及び住所



七 危険物の国連番号、品名、等級、隔離区分、副次危険性等級及び容器等級



八 個数及び質量又は容積



九 積載の場所及び状態




2 前項各号に掲げる事項が明示された積付図は、同項の危険物積荷一覧書に代えることができる。



3 船舶所有者は、前二項の規定により交付を受けた危険物積荷一覧書又は積付図(以下「積荷一覧書等」という。)を陸上の事務所に一年間保管しなければならない。



4 第十八条(第五項から第七項までを除く。)の規定は、第一項又は第二項の規定により積荷一覧書等を交付する場合について準用する。



5 船長は、前項において準用する第十八条第一項の規定により積荷一覧書等を通知したときは当該積荷一覧書等を記録した電磁的記録を当該通知に係る運送が終了するまでの間、船内に保管しなければならない。



6 船舶所有者は、第四項において準用する第十八条第一項の規定により積荷一覧書等の通知を受けたときは、当該積荷一覧書等を記録した電磁的記録を陸上の事務所に一年間保管しなければならない。



(引揚火薬類の運送)


第二十三条 航海の制限等に関する件(昭和二十年運輸省令第四十号)第四条ノ三の規定による引揚げの許可を受けて火薬類をそのあつた海域から運送する場合は、当該火薬類については前章(第五条の四、第五条の九及び第五条の十の規定を除く。)及び本章の規定を適用しない。




第二節 コンテナによる危険物の運送等

(コンテナによる危険物の運送)


第二十四条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、荷送人(船舶所有者が危険物をコンテナに収納する場合にあつては、当該船舶所有者)は、コンテナの構造等、危険物の収納方法並びにコンテナの標識及び表示につき次条から第二十八条までの規定、船長はコンテナの積載方法及び隔離につき第三十二条及び第三十三条の規定によらなければならない。



(コンテナの構造等)


第二十五条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、コンテナの構造及び性能に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。



(危険物の収納方法)


第二十六条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、あらかじめ、当該コンテナを十分に清掃し、かつ、当該危険物を収納した場合に当該コンテナに付すことを要しない標識及び表示は、取り外さなければならない。



2 危険物をコンテナに収納する場合は、当該危険物の移動、転倒、衝撃、摩擦、圧壊、漏えい等により危険を生じるおそれがないように、かつ、当該危険物のいずれの部分も外部に突出しないように収納し、コンテナの開閉扉を閉鎖しなければならない。



3 温度管理が必要な危険物として告示で定めるものをコンテナに収納する場合は、温度管理の方法その他の告示で定める基準に適合するものでなければならない。



4 危険物と危険物以外の貨物を同一のコンテナに収納する場合は、当該危険物は、できる限りコンテナの開閉扉の付近に収納しなければならない。





第二十七条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、運送する危険物を次に掲げるものと同一のコンテナに収納してはならない。ただし、当該危険物の性状、質量、収納方法等を考慮して船積地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。


一 第二十一条第一項の規定により当該危険物と隔離しなければならない危険物



二 当該危険物との作用により、発熱し、ガスを発生し、腐食作用を起こし、その他危険な物理的又は化学的作用を起こすおそれがあるもの




(標識及び表示)


第二十八条 第八条第一項の規定により標札等を付すことが義務づけられている危険物を収納するコンテナには、告示で定める様式による当該危険物の標識(等級の異なる火薬類を収納する場合は、最も高い危険性を示す等級の標識)を四側面に付さなければならない。



2 前項の規定は、火薬類であつて告示で定めるもの又は告示で定める危険物(当該危険物について、それぞれ、告示で定める質量又は容量以下であるものに限る。以下この条において「特定危険物」という。)については、適用しない。ただし、コンテナに収納された危険物が特定危険物のみである場合(当該危険物が、告示で定める特定危険物のみである場合を除き、第八条第一項の規定又は海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行規則(昭和四十六年運輸省令第三十八号)第三十七条の十七第一項第一号ハの規定により標札等を付すことが義務付けられている危険物(次項において「標札等義務付け対象危険物」という。)以外の危険物を含んでいる場合を含む。)は、当該コンテナに告示で定める標識を四側面に付さなければならない。



3 同一品名の危険物標札等義務付け対象危険物を除く。以下この項において同じ。)のみを同一のコンテナに収納する場合及び危険物をコンテナにばら積みして運送する場合は、告示で定める方法により、当該危険物の品名を少なくとも当該コンテナの両側面に表示しなければならない。ただし、同一品名の危険物のみを同一のコンテナに収納する場合であつて、当該危険物の国連番号を告示で定める方法により当該コンテナに表示する場合は、この限りでない。



4 同一国連番号の危険物(火薬類及び特定危険物を除く。)を同一のコンテナに告示で定める質量を超えて収納する場合(当該危険物が当該コンテナに収納される唯一の危険物である場合に限る。)及び危険物をコンテナにばら積みして運送する場合は、告示で定める基準により当該危険物の国連番号を当該コンテナに表示しなければならない。



5 摂氏百度以上の液体又は摂氏二百四十度以上の固体の危険物が収納されたコンテナには、高温注意用表示(告示で定める様式による。以下同じ。)を四側面に表示しなければならない。



6 コンテナに収納された貨物にくん蒸を施した場合は、当該コンテナの開閉扉の見やすい位置に、くん蒸注意用表示(告示で定める様式による。以下同じ。)を表示しなければならない。



7 コンテナに収納された危険物を告示で定める冷却剤で冷却する場合は、当該コンテナの開閉扉の見やすい位置に、冷却剤注意用表示(告示で定める様式による。以下同じ。)を表示しなければならない。



8 ポータブルタンクを収納したコンテナであつて、当該ポータブルタンクに付された標札等、品名、国連番号及び高温注意用表示のいずれもが、当該コンテナの外部から容易に確認できるものは、第一項及び第三項から第五項までの規定にかかわらず、標札等、品名、国連番号及び高温注意用表示を当該コンテナに付すことを要しない。





第二十九条 第九条の規定は、前条第一項の標識、同条第三項の品名又は国連番号の表示、同条第四項の国連番号の表示及び同条第五項の高温注意用表示について準用する。



2 前条第六項のくん蒸注意用表示及び同条第七項の冷却剤注意用表示は、危険物の運送が終了するまでの間は、消えるおそれのないものでなければならない。



(コンテナ危険物明細書)


第三十条 危険物をコンテナ(タンクコンテナ(ポータブルタンクが固定されているコンテナをいう。以下同じ。)を除く。以下この条において同じ。)に収納して運送する場合(船舶所有者が危険物をコンテナに収納する場合を除く。)は、危険物の荷送人は、あらかじめ、次の各号に掲げる事項を記載したコンテナ危険物明細書をコンテナごとに作成し、船舶所有者又は船長に提出しなければならない。


一 コンテナ番号



二 荷送人の氏名又は名称及び住所



三 荷受人の氏名又は名称及び住所



四 コンテナ危険物明細書を作成し、又は船舶所有者若しくは船長に提出した年月日



五 危険物の国連番号、品名、等級、隔離区分、副次危険性等級及び容器等級



六 個数及び質量又は容積



七 その他告示で定める事項




2 危険物をコンテナに収納して運送する場合であつて船舶所有者が危険物をコンテナに収納する場合は、船舶所有者は、あらかじめ、氏名又は名称及び住所並びに前項各号に掲げる事項を記載したコンテナ危険物明細書をコンテナごとに作成し、船長に交付しなければならない。



3 第十七条第二項の規定は、前二項のコンテナ危険物明細書の記載方法について準用する。



4 第一項のコンテナ危険物明細書には、当該危険物の容器、包装、標札等、品名等の表示及び収納方法並びにコンテナの標識及び表示がこの省令の規定に適合し、かつ、運送に適した状態にあることを付記するか、又はこれを証する書類を添付し、第二項のコンテナ危険物明細書には、第十七条の危険物明細書(同条第三項の規定により添付された書類を含む。)を添付するとともに、当該危険物の収納方法及びコンテナの表示がこの省令の規定に適合し、かつ、運送に適した状態にあることを付記するか、又はこれを証する書類を添付しなければならない。



5 危険物の荷送人は、第一項の規定によりコンテナ危険物明細書を提出したときは、当該コンテナ危険物明細書の写しを三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を収納したコンテナを運送する場合には、この限りでない。



6 危険物が収納されているコンテナを他の船舶に積み換えるときは、前の船舶の船舶所有者又は船長は、当該コンテナのコンテナ危険物明細書を後の船舶の船舶所有者又は船長に交付しなければならない。



7 船舶所有者又は船長は、第一項の規定によりコンテナ危険物明細書の提出を受けたとき又は前項の規定によりコンテナ危険物明細書の交付を受けたときは、当該コンテナ危険物明細書又はその写しを三月間保管しなければならない。ただし、本邦各港間において危険物を収納したコンテナを運送する場合には、この限りでない。



8 第十八条(第六項を除く。)の規定は、第一項の規定によりコンテナ危険物明細書を提出する場合又は第二項若しくは第六項の規定によりコンテナ危険物明細書を交付する場合について準用する。



(コンテナの積載前における確認等)


第三十一条 船長は、危険物が収納されているコンテナ(タンクコンテナを除く。以下この条において同じ。)の船積みをする場合は、コンテナの表示がコンテナ危険物明細書の記載事項と合致していることを確認するとともに、コンテナの損傷、危険物の漏えい等異状の有無を調査しなければならない。



2 船長は、前項の調査の結果、危険物の容器、包装、標札等、品名等の表示及び収納方法並びにコンテナの標識及び表示に関して、この省令の規定に違反しているおそれがあると認めるときは、証人の立会いの下にコンテナを開き、荷ほどきして検査することができる。





第三十一条の二 特殊貨物船舶運送規則第一条の二の三の規定は、危険物をコンテナに収納して運送する場合に、これを準用する。この場合において、同条第一項中「前条第五号に掲げる貨物の質量」とあるのは「コンテナの質量及び当該コンテナに収納されている物の質量を合計した質量」と、同条第二項中「コンテナヤード代表者」とあるのは「船長及びコンテナヤード代表者」と、同条第三項中「前条及び前項」とあるのは「前項」と読み替える。



(コンテナの積載方法等)


第三十二条 危険物が収納されているコンテナを積載する場合は、移動、転倒、損傷、圧壊等を生じないように積載しなければならない。



2 危険物が収納されているコンテナをコンテナのみを積載するための設備を有する船倉、区画又は甲板上に積載する場合は、第二十条に規定するもののほか、告示で定める積載方法によらなければならない。



3 収納された貨物にくん蒸を施したコンテナを旅客船に積載する場合は、甲板上積載としなければならない。



4 収納された貨物にくん蒸を施したコンテナを甲板下積載する場合は、くん蒸ガスを検知する装置及び当該装置の説明書を船内に備え置かなければならない。



(コンテナ相互の隔離)


第三十三条 危険物が収納されているコンテナをコンテナのみを積載するための設備を有する船倉、区画又は甲板上に積載する場合は、第二十一条の規定にかかわらず、告示で定める隔離の基準によることができる。



(適用除外)


第三十四条 危険物をコンテナに収納して運送する場合は、第十九条の規定は、適用しない。



2 危険物を風雨密のコンテナ(タンクコンテナを除く。)に収納して運送する場合は、第二十条第二項の規定は、適用しない。



(自動車渡船による危険物の運送)


第三十五条 第二十四条、第二十六条から第三十一条まで、第三十二条第二項から第四項まで、第三十三条及び前条の規定は、危険物を自動車等に積載して自動車渡船により運送する場合について準用する。この場合において、第二十四条中「コンテナの構造等、危険物の」とあるのは「危険物の」と、「次条」とあるのは「第二十六条」と、「第三十二条」とあるのは「第三十二条第二項から第四項まで」と、第二十六条第一項中「コンテナを」とあるのは「自動車等の荷台を」と、同条第二項及び第四項中「コンテナの開閉扉」とあるのは「自動車等の荷台の開閉扉」と、第二十八条第一項及び第五項中「四側面」とあるのは「両側面及び後端面(牽けん
引自動車と連結していないセミトレーラ(前車軸を有しない被牽けん
引自動車であつて、その一部が牽けん
引自動車に載せられ、かつ、当該被牽けん
引自動車及びその積載物の重量の相当部分が牽けん
引自動車によつて支えられる構造のものをいう。)にあつては四側面)」と、第三十条第一項中「タンクコンテナ(ポータブルタンクが固定されているコンテナをいう。以下同じ。)」とあるのは「タンク自動車及びタンク車」と、「コンテナ危険物明細書」とあるのは「自動車等危険物明細書」と、「コンテナ番号」とあるのは「自動車等を特定する事項」と、同条第二項から第八項までの規定中「コンテナ危険物明細書」とあるのは「自動車等危険物明細書」と、第三十一条第一項中「タンクコンテナ」とあるのは「タンク自動車及びタンク車」と、「コンテナ危険物明細書」とあるのは「自動車等危険物明細書」と、「コンテナの損傷」とあるのは「自動車等の荷台の損傷」と、同条第二項中「コンテナを」とあるのは「自動車等の荷台の開閉扉を」と、第三十二条第二項中「コンテナのみを積載するための設備を有する船倉、区画又は甲板上」とあるのは「ロールオン・ロールオフ貨物区域(船舶防火構造規則(昭和五十五年運輸省令第十一号)第二条第十七号の二のロールオン・ロールオフ貨物区域をいう。以下同じ。)」と、第三十三条中「コンテナのみを積載するための設備を有する船倉、区画又は甲板上」とあるのは「ロールオン・ロールオフ貨物区域」と、第三十四条第二項中「風雨密のコンテナ」とあるのは「風雨密の自動車等の荷台」と、「タンクコンテナ」とあるのは「タンク自動車及びタンク車」と読み替えるものとする。



2 危険物を自動車等に積載して自動車渡船により運送する場合は、荷送人(船舶所有者が危険物を自動車等に積載する場合は、当該船舶所有者)は冷凍装置の冷凍能力等(自動車等に積載した危険物を冷凍するものに限る。)につき、船長は自動車等の積載方法につき、それぞれ、告示で定めるところによらなければならない。





第三十六条 危険物を積載している自動車等を国際航海に従事しない自動車渡船により運送する場合であつて、火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)、高圧ガス保安法、消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)又は毒物及び劇物取締法(昭和二十五年法律第三百三号)の規定によるときは、当該危険物については、第八条、第九条、第十五条、第十六条、前条において準用する第二十八条及び第二十九条、第四十六条、第五十四条、第六十一条、第六十二条、第六十五条、第六十八条において準用する第六十二条並びに第百八条の規定は、適用しない。



2 第七条第二項の規定にかかわらず、船舶の所在地を管轄する地方運輸局長が船舶の構造、航海の態様等を考慮し、安全上差し支えないと認めて許可した場合は、同条第三項の告示で定める数を超える数の旅客を搭載している自動車渡船に、前条第二項の告示で定めるところにより、告示で定める危険物を積載しているタンク自動車又はタンク車を運送することができる。



3 前項の規定による運送の許可を受けて、前項のタンク自動車又はタンク車を、第七条第三項の告示で定める数を超える数の旅客を搭載している自動車渡船により運送する場合は、当該自動車渡船の船長は、自動車等の積載方法、消火装置及び安全の確認について、次の各号によらなければならない。


一 当該タンク自動車又はタンク車を積載する甲板上に積載される自動車等(自転車を除く。)を、告示で定める基準に適合する装置を用いて告示で定める方法により固定すること。



二 告示で定める危険物を積載しているタンク自動車又はタンク車を告示で定める場所に積載しないこと。



三 船舶消防設備規則(昭和四十年運輸省令第三十七号)に規定する消防設備に加え、告示で定める消火装置を備えること。



四 告示で定める事項を記載した危険防止措置手引書を備え置き、これに従つて安全の確認を行うこと。





第三節 危険物を運送する船舶の要件

(防火等の措置)


第三十七条 危険物(病毒をうつしやすい物質及び放射性物質等を除く。以下この項において同じ。)を積載する貨物区域(危険物をばら積みする区域を除く。以下この項において同じ。)を有する船舶(小型船舶(国際航海に従事しない総トン数二十トン未満の船舶をいう。)を除く。以下この条及び次条において同じ。)には、運送する危険物の分類又は項目及び当該危険物を積載する貨物区域の種類に応じ、別表第一及び別表第二に定める防火並びに火災探知及び消火の措置(以下「防火等の措置」という。)を講じなければならない。ただし、船舶の所在地を管轄する地方運輸局長(本邦外にある船舶については、関東運輸局長。以下同じ。)が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。



2 第十三条の規定により旅客船以外の船舶にばら積みして運送することができる危険物をばら積みする貨物区域を有する船舶には、別表第三に定める防火等の措置を講じなければならない。ただし、船舶の所在地を管轄する地方運輸局長が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。



(危険物運送船適合証)


第三十八条 船舶の所在地を管轄する地方運輸局長は、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第五条の検査(同法第八条の船舶にあつては、船級協会(同条の登録を受けた船級協会をいう。以下同じ。)が同法第八条の規定により行う検査)を受け、前条の要件に適合した船舶について、運送することができる危険物(同条第一項の船舶については病毒をうつしやすい物質及び放射性物質等以外の危険物をいい、同条第二項の船舶については第十三条の規定により旅客船以外の船舶にばら積みして運送することができる危険物をいう。以下この条において同じ。)の分類又は項目及び当該危険物の積載場所を指定し、危険物運送船適合証(第一号様式)を交付するものとする。



2 船長は、危険物を運送する場合は、危険物運送船適合証を船内に備え置かなければならない。



3 船長は、危険物運送船適合証の交付を受けていない船舶により危険物を運送してはならない。



4 船長は、第一項により指定された条件に従つて危険物を運送しなければならない。



5 告示で定める外国の政府が外国船舶に対して交付した危険物の運送に関する適合書類は、第一項に規定する危険物運送船適合証とみなす。



6 国際航海に従事する船舶の船舶所有者は、危険物運送船適合証の英訳書の交付を受けることができる。



(危険物運送船適合証の交付申請)


第三十八条の二 船舶安全法第八条の船舶であつて船舶安全法施行規則第四十八条の五に規定する検査を要しないものに係る危険物運送船適合証の交付を受けようとする者は、危険物運送船適合証交付申請書(第一号の二様式)を船舶の所在地を管轄する地方運輸局長に提出しなければならない。



2 危険物運送船適合証交付申請書には、次に掲げる書類(初めて危険物運送船適合証の交付を受ける船舶にあつては、第一号及び第三号に掲げる書類並びに船級協会の検査に関する事項を記録した書類)を添付しなければならない。


一 船舶検査証書及び船舶検査手帳(交付を受けている船舶に限る。)



二 危険物運送船適合証



三 船級協会の船級の登録を受けている旨の証明書




(危険物運送船適合証の有効期間)


第三十九条 危険物運送船適合証の有効期間は、交付の日から船舶検査証書の有効期間が満了する日までとする。



2 従前の危険物運送船適合証の有効期間の満了前に、船舶安全法第五条第一項第一号に規定する定期検査(同法第八条の船舶にあつては、船級協会が同条の規定により行う定期検査に相当する検査。以下この条において「定期検査等」という。)を受け、当該定期検査等に係る危険物運送船適合証の交付を受けた場合は、従前の危険物運送船適合証の有効期間は、満了したものとみなす。



(危険物運送船適合証の有効期間の延長)


第四十条 船舶の所在地を管轄する地方運輸局長は、申請により、船舶安全法第十条第二項の規定により延長された船舶検査証書の有効期間の範囲内においてその指定する日まで当該船舶の危険物運送船適合証の有効期間の延長をすることができる。ただし、指定を受けた日前に当該船舶検査証書の有効期間が満了した場合には、当該危険物運送船適合証の有効期間は、満了したものとみなす。



2 前項の申請をしようとする者は、危険物運送船適合証有効期間延長申請書(第二号様式)に危険物運送船適合証及び船舶検査証書を添えて、船舶の所在地を管轄する地方運輸局長に提出しなければならない。





第四十条の二 船舶安全法第十条第三項の規定により船舶検査証書の有効期間が延長された場合は、当該船舶の危険物運送船適合証の有効期間は、第三十九条第一項の規定にかかわらず、当該船舶検査証書の延長後の有効期間の満了する日までとする。



(危険物運送船適合証の書換え)


第四十一条 船舶所有者は、危険物運送船適合証の記載事項を変更しようとする場合又はその記載事項に変更を生じた場合は、速やかに、危険物運送船適合証書換申請書(第三号様式)を船舶の所在地を管轄する地方運輸局長に提出し、その書換えを受けなければならない。



2 危険物運送船適合証書換申請書には、危険物運送船適合証を添付しなければならない。



(危険物運送船適合証の再交付)


第四十二条 船舶所有者は、危険物運送船適合証を滅失し、又はき損した場合は、危険物運送船適合証再交付申請書(第四号様式)を船舶の所在地を管轄する地方運輸局長に提出し、その再交付を受けることができる。



2 危険物運送船適合証再交付申請書には、危険物運送船適合証(き損した場合に限る。)を添付しなければならない。



3 危険物運送船適合証を滅失したことにより再交付を受けた場合は、滅失した危険物運送船適合証は、その効力を失うものとする。



(危険物運送船適合証の返納)


第四十三条 船舶所有者は、次に掲げる場合は、速やかに、危険物運送船適合証(第三号の場合にあつては、発見した危険物運送船適合証)を船舶の所在地を管轄する地方運輸局長に返納しなければならない。


一 船舶が滅失し、沈没し、又は解撤されたとき。



二 船舶が船舶安全法第二条の規定の適用を受けないこととなつたとき。



三 船舶が危険物の運送の用に供されないこととなつたとき。



四 危険物運送船適合証の有効期間が満了したとき。



五 危険物運送船適合証を滅失したことにより危険物運送船適合証の再交付を受けた後、その滅失した危険物運送船適合証を発見したとき。




(手数料)


第四十四条 危険物運送船適合証の交付(第三十八条の二第一項の規定による申請に係るものに限る。)、書換え若しくは再交付又は危険物運送船適合証の英訳書の交付を受けようとする者は、千七百円(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して(以下「電子情報処理組織により」という。)交付、書換え又は再交付の申請をする場合にあつては、千五百円)の手数料を納めなければならない。



2 前項の手数料は、手数料の額に相当する収入印紙を手数料納付書(第五号様式)にはつて納付しなければならない。ただし、電子情報処理組織により前項の書換え若しくは再交付又は交付の申請をする場合において、当該申請を行つたことにより得られた納付情報により納付するときは、現金をもつてすることができる。



(防災等の措置)


第四十五条 放射性物質等のうち核燃料物質(原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第三条第二号に規定する核燃料物質をいう。以下同じ。)又は核燃料物質によつて汚染された物を第七十一条第一項第一号に規定する放射性輸送物(次の各号に掲げるものに該当するものに限る。)とすることにより、又は告示で定める方法により運送する船舶には、別表第四に定める貨物の種類に応じ、同表に定める防災並びに放射線の測定及び災害対策のための措置(以下「防災等の措置」という。)を講じなければならない。ただし、国土交通大臣が安全上差し支えないと認める場合は、この限りでない。


一 第七十五条に規定するBM型輸送物



二 第七十六条に規定するBU型輸送物



三 第七十一条第一項第二号に規定する核分裂性輸送物



四 第八十七条第一項の告示で定める放射性物質等が収納され、又は包装されているもの





第四節 火薬類

(火薬類の運送に使用する容器及び包装)


第四十六条 火薬類を運送する場合は、荷送人は、その容器及び包装について、第八条第一項の規定によるほか、構造及び性能に関し告示で定める基準によらなければならない。



(照明、工具類の制限)


第四十七条 火薬類の荷役をするに際しては、電灯以外の照明を用いてはならない。



2 火薬類を積載してある場所においては、防爆型の懐中電灯以外の照明を用いてはならない。



3 火薬類の荷役をする場所又はこれを積載してある場所及びこれらの付近においては、マッチ、むきだしの鉄製工具その他火花を発しやすい物品を所持し、又は鉄びようの付いているくつ類をはいてはならない。



(火気取扱の制限)


第四十八条 火薬類の荷役をする場所又はこれを積載してある場所及びこれらの付近においては、喫煙をし、又は火気を取り扱つてはならない。ただし、船長が、これらの行為が特に必要であると認めた場合であつて、危険を防止するため充分な措置を講じた場合は、この限りでない。



2 船長は、前項本文の場所に喫煙又は火気の取扱を禁止する旨の表示をしなければならない。



(工事の制限等)


第四十九条 火薬庫、船倉、甲板、倉口その他火薬類の荷役をする場所又はこれを積載する場所の工事は、火薬類を積載する前に完成しておかなければならない。



2 火薬類を積載する場合は、あらかじめ、火薬類を積載する場所を清掃しなければならない。



3 火薬類の荷役をする場所又はこれを積載する場所にある貨物、器具等は、移動、転倒、衝撃、摩擦等により火薬類に危険を及ぼすおそれがないように、あらかじめ、十分な措置を講じなければならない。



4 火薬類の荷役をする場合は、あらかじめ、消防に必要な準備を完了しておかなければならない。



5 火薬類は、これを投げ、落し、転がす等不注意な取扱いをしてはならない。



(火薬類の積載方法)


第五十条 火薬類を運送する場合は、船長は、この省令の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(火薬庫)


第五十一条 火薬庫は、非開放型火薬庫とする。



2 前項の火薬庫は、構造及び性能に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。



(施錠等)


第五十二条 火薬類を積載する船倉若しくは区画の出入口又は火薬庫の開閉扉は、施錠その他関係者以外の者が立入ることができないような措置を講じなければならない。



(火薬庫の表示)


第五十三条 火薬庫(船員法による船員の乗り組まない船舶内の火薬庫に限る。)には、その外面の見やすい箇所に「火薬庫」及び「火気厳禁」の表示をしなければならない。




第五節 高圧ガス

(高圧ガスの運送に使用する容器及び包装)


第五十四条 高圧ガスを運送する場合は、荷送人は、その容器及び包装について、第八条第一項の規定によるほか、構造及び性能に関し告示で定める基準によらなければならない。



(充てん)


第五十五条 船舶内においては、高圧ガスの充てん又は詰替えをしてはならない。



2 高圧ガスを運送する場合は、荷送人は、充てん方法並びに容器の使用方法及び取扱いに関し告示で定める基準によらなければならない。



(高圧ガスの積載方法)


第五十六条 高圧ガスを運送する場合は、船長は、第二十条第一項の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(電気設備)


第五十七条 引火性高圧ガスを積載する船倉又は区画内に電気回路の端子がある場合は、積載前にその電気回路を電源から遮断し、かつ、当該船倉又は区画内の引火性ガスがなくなつた後でなければ電源に接続してはならない。ただし、当該船倉又は区画内に取り付けてある電気器具が防爆型のものであるときは、この限りでない。



2 引火性高圧ガスを積載してある船倉又は区画においては、防爆型の懐中電灯及び移動灯以外の照明を用いてはならない。この場合において、移動灯の端子は、暴露甲板上に取り付けなければならない。



(準用規定)


第五十八条 第四十七条第三項及び第四十八条の規定は、引火性高圧ガスについて準用する。




第六節 引火性液体類

(引火性液体類の積載方法)


第五十九条 引火性液体類を運送する場合は、船長は、第二十条第一項の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(準用規定)


第六十条 第四十七条第三項及び第五十七条の規定は、引火点が摂氏二十三度未満の引火性液体類について準用する。



2 第四十八条の規定は、引火性液体類について準用する。




第七節 可燃性物質類

(可燃性物質類の運送に使用する容器及び包装)


第六十一条 可燃性物質類を運送する場合は、荷送人は、その容器及び包装について、第八条第一項の規定によるほか、構造及び性能に関し告示で定める基準によらなければならない。





第六十二条 告示で定める可燃性物質をポータブルタンクに収納して運送する場合は、荷送人は、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した書面に、当該ポータブルタンクの構造部材と収納される可燃性物質の間で相互の作用により危険な化学作用が起こるおそれがないことを証明する資料及び当該ポータブルタンクに取り付けられた圧力安全装置の設計に関する資料を添えて、最寄りの地方運輸局長に提出してその承認を受けなければならない。


一 荷送人の氏名又は名称及び住所



二 運送しようとする可燃性物質の品名及び国連番号



三 その他参考となる事項




(可燃性物質類の積載方法)


第六十三条 可燃性物質類を運送する場合は、船長は、第二十条第一項の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(準用規定)


第六十四条 第四十八条の規定は、可燃性物質類について準用する。




第八節 酸化性物質類

(酸化性物質類の運送に使用する容器及び包装)


第六十五条 酸化性物質類を運送する場合は、荷送人は、その容器及び包装について、第八条第一項の規定によるほか、構造及び性能に関し告示で定める基準によらなければならない。



(酸化性物質類の積載方法)


第六十六条 酸化性物質類を運送する場合は、船長は、第二十条第一項の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(荷役前後の清掃)


第六十七条 酸化性物質の陸揚げを終了したときは、酸化性物質を積載していた場所について酸化性物質による汚染の有無を確認し、汚染があつた場合は、当該場所を清掃しなければならない。



2 第四十九条第二項の規定は、酸化性物質について準用する。



(準用規定)


第六十八条 第四十八条及び第六十二条の規定は、有機過酸化物について準用する。




第九節 毒物類

(毒物の積載方法)


第六十九条 毒物を運送する場合は、船長は、第二十条第一項の規定によるほか、その積載方法に関し告示で定める基準によらなければならない。



(準用規定)


第七十条 第四十七条第三項、第四十八条及び第五十七条の規定は、引火点が摂氏二十三度未満の毒物について準用する。



2 第六十七条第一項の規定は、毒物について準用する。




第十節 放射性物質等

(用語等)


第七十一条 この節において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。


一 放射性輸送物 放射性物質等が容器に収納され、又は包装されているものをいう。



二 核分裂性輸送物 放射性輸送物のうち、臨界防止のための措置が特に必要なものとして告示で定める放射性物質等が収納され、又は包装されているものをいう。



三 専用積載 大型コンテナ(非開放型のものであり、かつ、容積が三、〇〇〇リットルを超えるコンテナをいう。以下この節において同じ。)、船倉、区画、甲板の一定区域又は船舶を専用してする積載であつて、積載される貨物又はコンテナが一の荷送人からのものであり、かつ、当該貨物又はコンテナに係る荷役作業及び運送中の取扱いが荷送人又は荷受人の指示によつて行われるものをいう。




2 この節において「タンク」とは、船体の一部を構成しないタンクをいう。



3 放射性物質等をコンテナに収納して運送する場合における荷送人に関する規定であつてこの節に定めるものは、船舶所有者が放射性物質等をコンテナに収納する場合は、当該船舶所有者に適用する。



(放射性輸送物の種類)


第七十二条 放射性輸送物は、L型輸送物、A型輸送物、BM型輸送物、BU型輸送物、IP―1型輸送物、IP―2型輸送物及びIP―3型輸送物の七種とする。



(L型輸送物)


第七十三条 L型輸送物は、次の各号に適合するものでなければならない。


一 容易に、かつ、安全に取り扱うことができるよう不要な突出物のない構造とするとともに、荷役装具には急激なつり上げ等に対して十分な強度を持たせること。



二 放射性物質によつて汚染された場合に、表面の汚染の除去が容易にできる構造とすること。



三 運送中に予想される温度及び内圧の変化、振動等により、き裂、破損等の生ずるおそれがないこと。



四 容器の構造部材相互間又は容器の構造部材と放射性物質等の間で、相互の作用により、危険な物理的又は化学的作用を起こすおそれがないこと。



五 容器の弁がみだりに操作されないように適切な措置が講じられていること。



六 告示で定める放射性物質等が収納され、又は包装されている場合にあつて